新NISA積立額を毎月いくらに設定すべきか
来年からNISA制度が拡充して仮称新NISAになるということで世の中歓喜に沸いていますが、年間投資額がなんと最大360万円までとかなり大盤振る舞いになるのですよね。期間も無期限ということで、どういう風にも自分でアレンジできてしまうんですよ。自由度が高いことはいいのだけれども、逆に自分はいくら積み立てるべきか迷っていませんか?今回はそのヒントとなるお話です。
もちろんNISAを利用する最終目標も人それぞれなのですが、今回は老後資産のためということで考えていきたいと思います。
みなさんは72の法則をご存じですか? 72を利率で割ると元本が2倍になるまでの年数が求められるという法則のことです。
例えば、元金1000万円を年利4%で複利運用すると何年で2000万円になるのでしょうか? 72の法則を使うと72÷4で18, つまり1000万が4%複利運用で2000万になるには18年かかるというわけです。私は今50歳なので、手元の元本1000万円を老後に向けて今、年利4%の商品に一括投資すれば18年後の老後2000万円問題は解決するということですね。といっても、手元にそんなまとまったお金がないから、その法則を実際には使えないというのが問題となっていました。そんな私は漠然とつみたてNISAを積立中ですが、来年からどうしようか? 老後に向けて資産倍増できるとすると毎月いくら積み立てるべきか。
そんな時FPがよく使うのが減債基金係数という係数です。減債基金係数表に当てはめれば将来の目標となる資金を作るのに今からいくら積み立てればよいかがすぐに出るのでとても便利なのです。
先ほどの例で言うと、老後2000万円貯めるために18年前の今から年利4%で毎月どれだけ積み立てるのか?は下の係数表に当てはめると、0.039とありますから、2000万円×0.039=毎年78万円と出ます。つまり1か月65000円積み立てればよいということになります。

この係数がいつでもどこでも簡単に見られればいいのですが、数字が細かいですし、係数を探すのが面倒な時もあります。それが今回積立投資の資産倍増計画を立てるのにもってこいで、覚えやすい126の法則というのを学んだので皆さんにも共有したいと思います。
この情報は、慶応義塾大学理工学部教授で日本FP学会理事の枇々木規雄先生のレポートより引用させていただきます。
”「積立投資の複利効果を概算する簡単な計算ルール」として126の法則が紹介されていました。126を年利で割ると積立金が何年で2倍になるかを求められるという法則なのです。
例えば利率3%であれば126÷3=42という計算で、2倍になるまで42年かかるということがわかります。運用年数から「利率」を求めたいときにも使えます。運用期間20年であれば126÷20年で年利6.3%で運用すればいいとわかりますね。”

他にも、積立で資産を1.5倍にするための76の法則や、1.25倍にするための43の法則などもあります。しかし注意点も掲載されていました。
”ただし、投資においては値動きリスクがあります。例えば3%を想定して42年で元本が倍になる前提で資産形成の計画を立てた場合、年平均3%で運用できれば計画に近い成果が得られますが、値動きが大きい場合には計画通りに元本が増えないこともあります。そうした点も踏まえて活用していただきたいと思います。その意味でもリスクを抑えるために分散投資が重要となってきます。”
2024年からは新NISA制度の恒久化や非課税枠の拡大が開始されます。若い世代などは老後までの長い運用期間を活かすために今から具体的な数字の計画を立てるのは有意義なことです。例えば今から40年後の老後資金に3000万円必要だと考えているならば、126÷40=3.15ですから、3.15%で複利運用できれば積立合計元本は半分の1500万円で済むと計算できます。
それとは逆に40代、50代は若い世代と比べて運用期間は短くなります。しかしある程度金融資産がある、収入が多いなどにより、資産の一部を新NISA成長投資枠(ハイリスクハイリターン)で運用し、つみたて投資枠(ローリスクローリターン)を併用する。あるいはつみたて投資枠で多めの額を積み立てるなどのプランも考えられます。
運用できる期間が長くない場合や、リスク許容度が低い場合には、資産が2倍になる126の法則ではなく、1.5倍になる76の法則など、状況に応じて適した法則を用いることもできると思います。
例えば私などがそうですが、運用できるのが50-70歳までの20年間の場合、2倍を目指すと6.3%の運用が必要ですが、目標を1.5倍にする場合は76の法則で計算でき3.8%での運用が目安となり現実味が出てきます。このように自分の年代に応じて使う法則を選ぶと計画に生かしやすいです。

時間を味方につければ少額の積み立てでもまとまった資産が作れることを感じることができます。2024年からNISAの拡充が予定されていますから、それまでに積立効果をイメージしながら有効に活用していってもらえれば幸いです。